HOME > お役立ちコンテンツINDEX > 初めての英語教育 日本の英語教育いまむかし
お役立ちコンテンツ
初めての英語教育 日本の英語教育いまむかし
日本の英語教育の歴史は、明治維新にまでさかのぼります。黒船が来航し1854年に日米和親条約が締結され、200年以上続いた鎖国が解かれた日本には、西洋からさまざまな文化が入ってくるようになりました。その中には、英語のテキストや英字新聞も含まれていて、次々と日本語に訳されるようになります。
一方で、政府は諸外国に「追いつき追い越せ」を念頭に改革を行っていたため、西洋に倣った近代的な学校制度の整備が行われます。この時に日本の英語教育は開始されました。小学校で英語教育が行われていたこともあったそうです。ところが、その後教育方針への転換にあたって日本語が重視され小学校での英語教育は中止されることに。
そんな日本の英語教育に大きな転機が訪れたのは、日中戦争から第二次世界大戦の時期。アメリカやイギリスという敵対する国の言語であった英語は排斥され、例えばパーマは「電髪」、カレーライスのことは「辛味入汁掛飯」と呼ぶなど、既に定着していた言葉も日本語へと置き換えられるようになりました。
第二次世界大戦が終結すると、中学校や高等学校で英語の授業が再開されます。戦前はイギリス英語が主流でしたが、戦後はアメリカの影響を強く受けたためアメリカ英語を教えるようになりました。
また、他国では母国語以外の教科を英語で教えることがありますが、日本では基本的な教育は日本語で指導され、英語の授業においてのみ英語が用いられています。これは翻訳書を含め日本語による教材や専門書が充実していたことや、専門用語が和製漢語化されていたため、英語による指導の必要性がなかったことが理由です。
しかし近年では全教科を英語で授業する学校も出てきており、日本の英語教育の方針も転換期にあると言えるでしょう。
グローバリゼーションが進む中、日本の英語教育に関する考え方も変化しつつあります。2011年に小学校における英語教育を必修化し、2013年には高等学校における英語教育を原則英語で行う方針にするなど、学習指導要領の改訂が行われています。
さらに従来のカリキュラムは欧米の技術・分化を学ぶため翻訳力養成に重点を置いたものでしたが、現在では「話す」「聞く」「読む」「書く」の4つの力、つまり「使える英語」が目標。長い間日本の英語教育の最大の問題点とされていた大学入試試験についても大きく見直されて、2020年度(2021年1月実施)からはセンター試験の代わりに「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」がスタートします。
これに先立って2018年から、民間の英語力テストの成績をセンター試験の英語の点数に換算するシステムも導入されます。このように日本の英語教育の歴史は着実に変化し続けており、この先も新しい時代を生き抜くための力として英語教育がますます重視されるでしょう。